• Adagio for 2 Harps and Strings(2023)

      Orchestra
    • Duration - 12:20

    Adagio for 2 Harps and Strings

    久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings

    2023年新日本フィルハーモニー交響楽団からの委嘱で、9月9日トリフォニーホール、11日サントリーホールの第651回定期演奏会のために作曲した。

    自らマーラーの交響曲第5番を指揮するのでその前に演奏することになる。マーラーの楽曲は全5楽章からなり、約1時間10分を要する大曲である。第4楽章のアダージェットが映画『ベニスに死す』などにも使われとても有名で、マーラーの交響曲の中でも最も人気が高い作品である。

    当然僕としてはそれを意識した上で2023年7月末から作曲を開始した。7月はワシントン・ナショナル交響楽団を含む3つのオーケストラですべて異なるプログラムを行った直後なので、かなり疲れたため困難な状況だったが、東京から離れた仕事場で8月10日までに大方の作曲を終了し、東京で仕上げに取り組み8月15日に完成した。異例の速さだったが、これはとても幸運だったとしか言いようがない。

    漠然と「マーラー”アダージェット”の久石版が書ければ」と考えていたのだが、詰まるところは遅いテンポの楽曲を書きたかったということである。

    ミニマル系の作曲ではリズムがメインになるのでスローな曲は得意ではない。特にアメリカ系のミニマル作品には少ない。僕の作品でも遅い楽曲はあまり多くないので、今回チャレンジしようと考えた。また、マーラーの楽曲と一緒に演奏するのはそれなりのプレッシャーがかかるのだが、幸い上記のスケジュールをひたすらこなして目の前のことに集中したため、順調に仕上がったわけである。

    だが、完成したスコアを見るとかなり細かい音符もあり演奏は決して楽ではない。

    編成は2ハープとストリングスでほぼマーラーの”アダージェット”と同じで(ハープが1台僕の曲では多い)約12分半の長さになった。出だしのハープの音形は半音高いが、マーラーからの引用で、もちろん敬意を込めての使用である。

    論理的に構成しているつもりであるが、結果として大らかな自然と人への讃歌であり、祈りでもあれば、と願っている。

    2023年8月 久石譲

    • Viola Saga -for Orchestra-(2023)

      Orchestra
    • Duration - 19:13

    • Mov.1 10'

    • Mov.2 9'

    Viola Saga -for Orchestra-

    2023/7/5

    Viola Sagaは2022年のMusic Future vol.9で初演した作品だが、今回Violaとオーケストラの協奏曲として再構成した。
    タイトルのSagaは日本語の「性ーさが」をローマ字書きしたもので意味は生まれつきの性質、もって生まれた性分、あるいはならわし、習慣などである。
    同時に英語読みのSagaは北欧中世の散文による英雄伝説とも言われている。
    あるいは長編冒険談などの意味もある。
    仮につけていた名前なのだが、今はこの言葉が良かったと思っている。
    曲は2つの楽曲でできていて、I.は軽快なリズムによるディベルティメント、II.は分散和音によるややエモーショナルな曲になっている。
    特にII.はアンコールで演奏できるようなわかりやすい曲を目指して作曲した。
    が、リズムはかなり複雑で演奏は容易ではない。(久石譲)

    • Variation 57 Concert for Two Pianos and Orchestra(2022)

      Orchestra
    • Duration - 16:55

    • Movement 1 7'

    • Movement 2 2'

    • Movement 3 8'

    • Symphony No.3 (Metaphysica)(2021)

      Orchestra
    • Duration - 32:43

    • I.existence 11'

    • II.where are we going 11'

    • III.substance 11'

    Symphony No.3 (Metaphysica)

    Metaphysica(交響曲第3番)は新日本フィル創立50周年を記念して委嘱された作品です。新日本フィルとはもうかれこれ30年くらい一緒に演奏していて、お互いをよく知っています。シーズンのオープニングコンサートでこの新作とマーラーを演奏することは大きなプレッシャーもありますが、最大の楽しみでもあります。

    新作は2021年4月末から6月にかけて大方のスケッチを終え、8月中旬にはオーケストレーションも終了し完成しました。前作の交響曲第2番が2020年4月から2021年4月と1年かかったのに比べると約4ヶ月での完成は楽曲の規模からしても僕自身にとっても異例の速さです。

    楽曲は4管編成(約100名)で全3楽章からなり約35分の長さです。この編成はマーラーの交響曲第1番とほぼ同じであり、それと一緒に演奏することを想定して書いた楽曲でもあります。

    当然何らかの影響はあると思います。

    僕の尊敬する作曲家デヴィット・ラング氏は「ミニマル系の作曲家は一つの楽曲をできるだけ単一要素で乗り切ろうとあらゆる手を尽くして作曲するけど、マーラーは次々に新手のテーマを投入して楽曲を構成するから羨ましい」とジョークまじりに話していましたが、これがミニマルミュージックと他の音楽の大きな違いです。

    その全く違うタイプの楽曲を組み合わせることでかつて経験したことのないプログラムになればと考えています。

    Metaphysicaはラテン語で形而上学という意味ですが、ケンブリッジ大学が出している形而上学の解説を訳すと「存在と知識を理解することについての哲学の一つ」ということになります。要は感覚や経験を超えた論理性を重視するということで、僕の場合は音の運動性のみで構成されている楽曲を目指したということです。

    I. existence は休符を含む16分音符3つ分のリズムが全てを支配し、その上にメロディー的な動きが変容していきます。

    II. where are we going? は26小節のフレーズが構成要素の全てです。それが圧縮されたり伸びたりしながらリズムと共に大きく変奏していきます。

    III. substance は ド,ソ,レ,ファ,シ♭,ミ♭の6つの音が時間と空間軸の両方に配置され、そこから派生する音のみで構成されています。ちなみにこれはナンバープレースという数字のクイズのようなゲームからヒントを得ました。

    何やら難しい事ばなり書いてきましたが、これは生きた音楽を作るための下支えでしかありません。

    皆様には心から楽しんでいただけたら幸いです。

    2021年8月12日 久石譲

    • Asian Works 2020(2021)

      Orchestra
    • Duration - 11:53

    • Ⅰ Will be the wind 4'

    • Ⅱ Yinglian 3'

    • Ⅲ Xpark 4'

    • Symphony No.2(2021)

      Orchestra
    • Duration - 37:32

    • I.What the world is now? 12'

    • II.Variation 14 11'

    • III.Nursery rhyme 15'

    Symphony No.2

    1. Symphony No.2 (World Premiere)
    2020年9月にパリとストラスブールで初演し、その後世界各地で演奏する予定だったが、パリは2022年4月、その他の都市も2022年以降に延期された。僕としては出来上がった曲の演奏を来年まで待てないので今回W.D.O.で世界初演することに決めた。

    2020年の4~5月にかけて、東京から離れた仕事場で一気に作曲し、大方のオーケストレーションも施した。が、コンサートが延期になり香港映画などで忙しくなったこともあり、そのまま今日まで放置していた。当初は全4楽章を想定していたが、3楽章で完結していることを今回の仕上げの作業中に確信した。

    この時期だからこそ重くないものを書きたかった。つまり純粋に音の運動性を追求する楽曲を目指した。36分くらいの作品になった。

    Mov.1 What the world is now?
    チェロより始まるフレーズが全体の単一モチーフであり、それのヴァリエーションによって構成した。またリズムの変化が音楽の表情を変える大きな要素でもある。

    Mov.2 Variation 14
    「Variation 14」として昨年のMUSIC FUTURE Vol.7において小編成で演奏した。テーマと14のヴァリエーション、それとコーダでできている。とてもリズミックな楽曲に仕上がった。ネット配信で観た海外の音楽関係者からも好評を得た。

    Mov.3 Nursery rhyme
    日本のわらべ歌をもとにミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるかの実験作である。途中から変拍子のアップテンポになるがここもわらべ歌のヴァリエーションでできている。より日本的であることがむしろグローバルである!そんなことを意識して作曲した。約15分かかる大掛かりな曲になった。

    • The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra(2020)

      Orchestra
    • Duration - 24:26

    • I.Crossing Lines 9'

    • II.The Scaling 7'

    • III.The Circles 8'

    The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra

    「The Border」はホルン奏者の福川伸陽氏から依頼されて作曲した。全3楽章、約24分の作品になった。

    初演は2020年2月13日 東京オペラシティ コンサートホールで、ソロ・ホルン 福川伸陽、豊田実加、藤田麻理絵の諸氏とフューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC)によって演奏され、同時にレコーディングもされた。

    I. Crossing Linesは、16分音符の3、5、7、11、13音毎にアクセントがあるリズムをベースに構成した。つまり支配しているのはすべてリズムであり、その構造が見えやすいように音の構造はシンプルなScale(音階)にした。

    II. The Scalingは、G#-A-B-C#-D-E-F#の7音からなる音階を基本モチーフとして、ホルンの持つ表現力、可能性を引き出しつつ論理的な構造を維持するよう努めた。

    III. The Circlesは、ロンド形式に近い構造を持っている。Tuttiの部分とホルンとの掛け合いが変化しながら楽曲はクライマックスを迎える。以前に書いた「エレクトリック・ヴァイオリンと室内オーケストラのための室内交響曲」の第3楽章をベースに再構成した。ホルンとオーケストラによってまるで別の作品になったことは望外の喜びである。

    久石譲

    • “World Dreams” Suite(2019)

      Orchestra
    • Duration - 12:46

    • I.World Dreams 4'

    • II.Driving to Future 4'

    • III.Diary 5'

    “World Dreams” Suite

    「World Dreams」は、2004年に新日本フィルハーモニー交響楽団と活動を始めたWORLD DREAM ORCHESTRA(W.D.O.)のために作曲した。

    2001年に9.11(米同時多発テロ)が起きてから、世界はバラバラになり、今までの価値観ではもうやっていけなくなるという感覚が自分の中で強くあった。だからこそ、世界中の人々が違いを言うのではなく、世界を一つの国として捉えるような曲、つまり国歌のような朗々としたメロディーの曲を作りたいと思った。

    作曲していた当時、頭を過っていた映像は、ビルに突っ込む飛行機、アフガンやイラクの逃げまどう一般の人々や子供たちだったが、2022年の現在、それはウクライナの人々に変わっただけで世界は何も変わっていなかった。世界はどこに行くのか? 絶望的な気持ちになるが、それでも僕は”世界の夢”(World Dreams)である平和な世界(もしそういうものがあるとしたら)がいつか訪れると信じたい。

    その「World Dreams」の組曲を作りたいという構想はずっとあったが、2019年に、様々な仕事で書き溜めた楽曲をもとにした3管編成(約90人)の約13分の組曲として完成した。3曲からなり、上述の1.World Dreams、ミニマル的で軽快な曲となった2.Driving to Future、そして、3.Dairyはやはり国歌に通じる厳かな楽曲になった。

    初演は、2019年のWORLD DREAM ORCHESTRA Tourで、作曲者本人の指揮で行った。

    久石譲

    • ASIAN SYMPHONY(2017)

      Orchestra
    • Duration - 26:37

    • I.Dawn of Asia 5'

    • II.Hurly-Burly 3'

    • III.Monkey Forest 6'

    • IV.Absolution 6'

    • V.Asian Crisis 6'

    • Encounter for String Orchestra(2017)

      Orchestra
    • Duration - 5:55